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2023-06

モンセラーテ宮殿

 シントラ旅行の最終日には、Palácio de Monserrate(パラシオ・デ・ モンセラーテ:モンセラーテ宮殿)を訪れました。ここは、イギリス人の大富豪 Francis Cook(フランシス・クック)が1858年に夏の別荘として造らせた屋敷です。彼は親の代から続く服地商人で、バロネット(準男爵)の称号を持っていました。また、絵画のコレクターとしても知られていたそうです。

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 インド・イスラム様式を取り入れた屋敷は、大変美しいものでしたが、経年による損傷が激しく、建物の内部では修復作業が行われていました。その現場を公開することにより、寄付金を募る目的もあるようでした。

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モンセラーテ宮殿 外観

 20世紀に入ってからクック家が没落し、モンセラーテ宮殿は売りに出されました。しかし、買い手がつかずに放置されていたことが、荒れ放題になっていた原因なのだとか。

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 この屋敷のユニークさを際立たせているインド・イスラム様式のドーム天井の内部を彩る繊細な透かし彫り。見ているだけでため息が出てきそうなほどの美しさです。この天井も修復作業により昔の麗しい姿を蘇らせました。
 他の部屋で行われていた修復作業の現場を見学させていただきました。全て手作業で、一つ一つのディテールに根気強く筆を入れてゆくというような、まさに気が遠くなるような作業の積み重ねでした。

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書斎

 修復作業は、1990年代から始まったそうです。25年以上が経過した現在でも、大部分の部屋が手つかずのままに残されています。作業の細かさを考えると、むしろ当然のことといえそうですが、美しい姿を取り戻した部屋もあります。書斎は2009年に修復を終えました。この洋風の書斎には、古い本の香りがただよい、当時の面影が再び蘇りました。

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 屋敷内部よりも更に美しいのは、広大な庭園です。五大陸から様々な植物が集められたことを考えると、植物園といったほうがよいかもしれません。サボテンが生い茂るメキシカン・ガーデンやイギリス風のバラ園、日本庭園もあります。
 私たちがここを訪れたのは3月末のこと。花の季節には少し早かったですが、高山植物が生い茂る原生林を散策しているかのような清清しい気分を満喫しました。この庭園は、人の手が入っていない野生の森のように無造作に見えますが、その実、人工的に緻密に計算して造られています。それがこの庭園の素晴らしいところです。

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バラの季節にはまだ早く、固い蕾が雨に濡れていました。

 モンセラーテ宮殿に行くためには、シントラ宮殿前の停留所から435番のバスに乗ります。チケットは車内で運転手から買います。2.5ユーロですが、乗り降り自由の1日乗車券になります。このバスは、レガイラ宮殿と Palácio de Seteais(パラシオ・デ・セテアイス:18世紀に建てられた宮殿が、ホテルとして使用されています)前にも止まります。
 シントラは日本人旅行者にはあまり知られていないのか、ガイドブックやインターネットで集められる情報が限られていますが、とても美しい場所です。私の旅行記がこれからシントラを訪れる方のお役に立てば嬉しく思います。

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