チャールズ・ディケンズ博物館
ビクトリア朝を代表とする文豪、チャールズ・ディケンズは、1812年2月7日に誕生し、1870年6月9日に58歳で亡くなっています。2012年は生誕200周年の記念の年です。記念のコインが発売されたり、イギリス各地で記念イベントが行われています。私も大好きな作家の軌跡をたどるためにチャールズ・ディケンズ博物館に足を運びました。

チャールズ・ディケンズ博物館外観
住宅地の一角にある普通の家が博物館です。小さな看板が出ています。ディケンズはこの家に結婚した当初からしばらく住んでいました。ブループラークが文豪がそこに暮らしていたことを示しています。

Drawing Room
館内にはディケンズの人物や作品に関する資料の他、ヴィクトリア朝の中流階級の家庭の様子が再現されています。この部屋は、実際にディケンズの家族が使っていたというわけではありませんが、家族の憩いの場所として、または、パーティーを開いたり、お客様をおもてなしするために使われていました。

ディケンズの著書
この博物館はディケンズの著書を収集保存する役割も果たしています。各時代、各国語、様々な大きさの蔵書があります。革の表紙の厚い本には貫禄があります。
私はイギリスに来てからディケンズを読み始めました。ディケンズに限らず、19世紀以前に書かれた文学作品は、長大なものが多くとっつきにくいイメージがありました。しかしながら、いざ読み始めると面白くて、すらすら読めてしまうことに驚きました。ディケンズの作品は、お上品で取り澄ましたところが少しもなく、市井の悲喜こもごもを題材にしています。登場人物の性格がはっきりとしていて、善人と悪人の区別がつけやすいのも特徴です。主人公や個性の強い脇役に感情移入するのことはきわめて容易で、長い物語もあっという間に読み終わってしまいます。
私の一番好きな作品は、Great Expectations(グレート・エクスペクテーションズ:邦題「大いなる遺産」)です。金に目がくらんで俗物と化した主人公のピップが、困難を乗り越え、人間的に成長してゆく姿には感動させられます。

ディケンズの作品と直筆原稿
ディケンズは中流家庭に生まれましたが、父ジョンの借金のために少年時代は苦しい生活を余儀なくされました。12歳の時には靴墨工場に奉公に出され、それが彼の人格に暗い影を落としました。自伝的作品とよばれている「デイヴィッド・コパフィールド」のなかでも、主人公のデイヴィッドが意地悪な義父によって無理やり働かされる場面があります。ディケンズにとって、多感な少年時代に貧困を経験したことは、屈辱的であったに違いありません。しかしながら、その経験が多くの作品のなかに、貧しい者たちへの同情や優しさとなって反映されています。
また、作品を通じて社会改革への積極的な発言も多く、貧困対策や債務者監獄(父ジョンもディケンズが奉公に出されている間に、家族とともに入獄しました。)の改善にも大きな影響を与えました。ディケンズは慈善活動も積極的に行いました。Great Ormond Street Hospital(グレート・オーモンド・ストリート・ホスピタル:子どものための病院で現在も NHS によって運営されています。)へ多額の寄付をしたことはよく知られています。

ディケンズが執筆に使っていた机
ディケンズは15歳で法律事務所に事務員として就職しましたが、ジャーナリストを目指すために速記術を習得し、退職して法廷速記者となりました。彼の文章は高く評価され、22歳のときには、新聞社で報道記者としての活動を始めました。この頃、仕事の合間に書いたエッセイが評判となり、文筆家としての名声も高まってゆきました。続いて発表した小説、「ピクウィック・ペーパーズ」が大人気を博し、人気作家としての道を歩み始めました。その後、「オリバー・ツイスト」や「クリスマス・キャロル」、「二都物語」など数々の作品を世に送り出し、文豪として不動の地位を獲得しました。

ディケンズの肖像
ディケンズは、若い頃とても美男子でした。右側が御馴染みの年をとってからのディケンズです。彼はとても速いペースで作品を執筆しました。また、講演活動や著書の公開朗読、編集者としての仕事も行っており、その過労が晩年の彼を実年齢よりも老け込ませました。


チャールズ・ディケンズ博物館外観
住宅地の一角にある普通の家が博物館です。小さな看板が出ています。ディケンズはこの家に結婚した当初からしばらく住んでいました。ブループラークが文豪がそこに暮らしていたことを示しています。

Drawing Room
館内にはディケンズの人物や作品に関する資料の他、ヴィクトリア朝の中流階級の家庭の様子が再現されています。この部屋は、実際にディケンズの家族が使っていたというわけではありませんが、家族の憩いの場所として、または、パーティーを開いたり、お客様をおもてなしするために使われていました。

ディケンズの著書
この博物館はディケンズの著書を収集保存する役割も果たしています。各時代、各国語、様々な大きさの蔵書があります。革の表紙の厚い本には貫禄があります。
私はイギリスに来てからディケンズを読み始めました。ディケンズに限らず、19世紀以前に書かれた文学作品は、長大なものが多くとっつきにくいイメージがありました。しかしながら、いざ読み始めると面白くて、すらすら読めてしまうことに驚きました。ディケンズの作品は、お上品で取り澄ましたところが少しもなく、市井の悲喜こもごもを題材にしています。登場人物の性格がはっきりとしていて、善人と悪人の区別がつけやすいのも特徴です。主人公や個性の強い脇役に感情移入するのことはきわめて容易で、長い物語もあっという間に読み終わってしまいます。
私の一番好きな作品は、Great Expectations(グレート・エクスペクテーションズ:邦題「大いなる遺産」)です。金に目がくらんで俗物と化した主人公のピップが、困難を乗り越え、人間的に成長してゆく姿には感動させられます。


ディケンズの作品と直筆原稿
ディケンズは中流家庭に生まれましたが、父ジョンの借金のために少年時代は苦しい生活を余儀なくされました。12歳の時には靴墨工場に奉公に出され、それが彼の人格に暗い影を落としました。自伝的作品とよばれている「デイヴィッド・コパフィールド」のなかでも、主人公のデイヴィッドが意地悪な義父によって無理やり働かされる場面があります。ディケンズにとって、多感な少年時代に貧困を経験したことは、屈辱的であったに違いありません。しかしながら、その経験が多くの作品のなかに、貧しい者たちへの同情や優しさとなって反映されています。
また、作品を通じて社会改革への積極的な発言も多く、貧困対策や債務者監獄(父ジョンもディケンズが奉公に出されている間に、家族とともに入獄しました。)の改善にも大きな影響を与えました。ディケンズは慈善活動も積極的に行いました。Great Ormond Street Hospital(グレート・オーモンド・ストリート・ホスピタル:子どものための病院で現在も NHS によって運営されています。)へ多額の寄付をしたことはよく知られています。

ディケンズが執筆に使っていた机
ディケンズは15歳で法律事務所に事務員として就職しましたが、ジャーナリストを目指すために速記術を習得し、退職して法廷速記者となりました。彼の文章は高く評価され、22歳のときには、新聞社で報道記者としての活動を始めました。この頃、仕事の合間に書いたエッセイが評判となり、文筆家としての名声も高まってゆきました。続いて発表した小説、「ピクウィック・ペーパーズ」が大人気を博し、人気作家としての道を歩み始めました。その後、「オリバー・ツイスト」や「クリスマス・キャロル」、「二都物語」など数々の作品を世に送り出し、文豪として不動の地位を獲得しました。


ディケンズの肖像
ディケンズは、若い頃とても美男子でした。右側が御馴染みの年をとってからのディケンズです。彼はとても速いペースで作品を執筆しました。また、講演活動や著書の公開朗読、編集者としての仕事も行っており、その過労が晩年の彼を実年齢よりも老け込ませました。
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● COMMENT FORM ●
ディケンズですか・・・
Chan様
はじめまして。コメントをありがとうございます。
ディケンズハウスに行かれたのですね。私も是非、行きたいです。ディケンズが滞在していたという夏に行ってみたいです。
イギリスではディケンズという作家よりも彼の作品の方がよく知られているように思います。クリスマスキャロルやオリバーツイストを知らない人はいません。オリバーツイストを書いた作家と言えばピンとくる人が多いのではないかと思います。
この博物館は現在、拡張工事中だそうで今年の12月には「大いなる遺産」に関する展示施設ができあがるそうです。来年には、この展示が見られそうですね。私もまた行きたいです。
ディケンズハウスに行かれたのですね。私も是非、行きたいです。ディケンズが滞在していたという夏に行ってみたいです。
イギリスではディケンズという作家よりも彼の作品の方がよく知られているように思います。クリスマスキャロルやオリバーツイストを知らない人はいません。オリバーツイストを書いた作家と言えばピンとくる人が多いのではないかと思います。
この博物館は現在、拡張工事中だそうで今年の12月には「大いなる遺産」に関する展示施設ができあがるそうです。来年には、この展示が見られそうですね。私もまた行きたいです。
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ディケンズ博物館ですか・・・3年位前ですが、ブロードスティアーズにあるディケンズハウスに妻と一緒に行った事があります。入ったのは私ら二人とイギリス人と思われる老人の3人だけ。
イギリス人でもディケンズ知らない人が多いですね。妻に言ったら日本人だって文豪と言われる人を知らない方が一杯いると言われました。かく言う私もクリスマスキャロルとかその程度しか読んだ事しかないですが・・・来年行ったらこの博物館に寄りたいと思っております。