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2019-07

Victorian Walk

 ヴィクトリア朝は、ヴィクトリア女王がイギリスを統治していた1837年から1901年の期間を示します。この時代は産業革命によって経済が発展し、更に優れた芸術、文学作品が描かれた時代でもあります。また、この時代はイギリス帝国の絶頂期であるとみなされています。
 ヴィクトリア朝は、大方のイギリス人にとって郷愁とロマン、悪と矛盾とをはらむ特別な時代です。今回はヴィクトリア朝の街並を歩きながら、この時代の背景を探っていくことにします。

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テーラー
 Museum of London(ロンドン博物館)には、ヴィクトリア朝の街並を再現した Victorian Walk(ヴィクトリアン・ウォーク)という大掛かりな展示があります。ロンドン博物館は1976年にオープンした比較的、新しい博物館で、古代から現代に至るまでのロンドンに関するありとあらゆる展示品を収蔵しています。

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よろず屋さん

 「シャーロック・ホームズ」シリーズでお馴染みのコナン・ドイル、「クリスマス・キャロル」を描いたチャールズ・ディケンズは、この時代を代表するイギリスの作家です。彼らはビクトリア朝のロンドンを小説の中で活き活きと描いています。霧のたちこめる薄暗いロンドンの夕闇にオレンジ色のガス灯が燈るなか、ホームズはキャブと呼ばれる二輪馬車で事件現場へと急ぎます。ホームズが属していた、上流・中流階級に属する人々の間では、使用人を雇うことがステイタスシンボルでした。彼らは茶会を催すなどして、優雅な生活を送っていました。多くの人々が憧れるヴィクトリア朝の風景です。
 一方で、ディケンズの描く物語には下層階級の人々の姿が描かれています。産業革命により農村から労働者として都会に働きに出てきた人々の多くは、貧しく過酷な生活を強いられました。ロンドンなどの都市部に人口が集中し、劣悪な環境のスラムが形成され、売春や児童労働なども横行しました。

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 ロンドンの煙草屋さんの店先にはスコットランド人の男性をかたどった人形が飾られているのが一般的でした。この人形のあるお店にはスコットランド人、とくにハイランド出身者が好む嗅ぎ煙草が売られているという印でした。人形は左手に煙草入れを持ち、右手で粉を掴むポーズをとっています。

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煙草屋

 ヴィクトリア朝には、人々の生活レベルは向上しましたが、貧富の差はますます拡大し、裕福な人々はより裕福になり、貧しい人々はより貧しい生活を強いられました。しかしながら、上流・中流階級には勿論のこと、下層階級にまで、洗練された威儀や礼節が浸透していった時代でもありました。この礼儀や道徳を重んじる風潮と、過酷で劣悪な生活環境から生まれた、売春や児童労働などといった悲惨な現象、この二つの矛盾した価値を併せ持った時代がビクトリア朝です。
 この時代に中流・上流階級の人々が使っていた陶器や家具はアンティークとしての価値があり、私たちは現在でもその美しさに魅せられます。しかしながら、私たちはヴィクトリア朝の華やかな部分にだけ焦点をあてているわけではありません。むしろ、過酷な労働に耐え抜いた貧しい庶民階級の人々の逞しさに感銘することができます。悲惨な状況を覆い隠すのではなく、目を背けずにしっかりと受け入れることができたときに初めて、この時代のダイナミックな躍動感を味わうことができます。この時代に生きた、貧しくとも一生懸命に生きていた人々が、現在、私たちが暮らすイギリスを支えてきたのですから。

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Victorian Walk に参加してくださいましてありがとうございました。
最後は、パブで一杯やってからおひらきにしましょう。

参考文献:Wikipedia

読んでくださいましてありがとうございました。
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ビクトリア時代は一種独特の雰囲気があって、とても好きな時代です。と言いましても大した知識はないのですが(笑)。またロンドンミュージアムは大好きなミュージアムのひとつでした。下宿からかなり離れていたので、なかなか行く機会がありませんでしたが。

ロンドンで色々好きな所はありますが、アンティークとそれを大切に受け継いでゆくイギリス人の気質には掛け値なく尊敬してしまいます。ロンドンのアンティーク専門オークションで大した知識もなく働いていたことがありますが、物品の搬入を手伝っていると道行く普通のおばちゃんから「この○○朝スタイル(←すみませんよく覚えていません)のテーブルはとてもいいわね」と話しかけられ、一般庶民からして目効きなのかとびっくりしたのを覚えています。

ihatov1001 様

こんにちは。
私も大して知識があるわけでもないのですが、ヴィクトリア朝の雑多でたくましいところが好きです。少し前に日本では江戸ブームがありましたが、イギリス人がヴィクトリア朝に郷愁を抱くのも同じような感覚なのではないかと想像します。
イギリス人は目利きの人が多いですよね。アンティークに詳しい同僚とマーケットに行ったとき、その同僚とほぼ同じものを欲しがるイギリス人の子ども(13歳くらい)がいました。同僚の話だとその子は相当に詳しい知識を持っているようでした。そして、売り手も子どもには甘いのでどんどん値を下げて売ってしまったそうです。同僚は悔しくて、年甲斐もなくむきになって子どもに負けないように先回りをしたそうです。私が「その子、アンティークなんて買ってどうするの?」と聞くと同僚は、「私と同じことをしてるね。ネットで売って、金儲け。」と言っていました。恐るべし。

こんにちは
ロンドン博物館は先日、子供が学校で行って来て、いろいろ教えてくれたのですが
かなり見所がありそうですね。
そして、歴史も少し勉強していったほうがいいでしょうね。
これを読まずに行っていたら、私、このコーナー素通りしてるに違いないです。
無料とはいえ、それはもったいないことですよね。

Hiro様

こんにちは。
ロンドン博物館はオープンしたのも比較的最近ですし、展示品も1900年代後半のものもあるので、肩肘を張らずに気軽に見学できる博物館です。私はビィクトリア朝の街並の雰囲気が大好きなので、このVictorian Walkの展示には飽きることがありません。展示品の全てがヴィクトリアンというわけではなさそうでしたが、お店の商品などには一部、本物のアンティークも紛れていそうでした。博物館の人がいたらどれが本物でどれが再現なのかを聞きたかったのですが、生憎、担当者がいらっしゃらなかったので聞くことができませんでした。

はじめまして

こんにちは。はじめまして。

私は、イギリスが大好きで、特に歴史や文化にとても興味があります。
でも、まだ行ったことがないんです。是非、いつか行きたいです。

私も、イギリスの歴史の中での庶民の暮らしに興味があり、産業革命時代は、
どんな生活をしていたのか、実際に見てみたいです。
(本は読んだことはあるのですが、かなり過酷で悲惨だと感じました)

先日、TVの世界ふしぎ発見で、英国のロイヤル・ウェディングの特集を観ました。
以前から、ヴィクトリア朝の文化や暮らしに興味があり、番組でも少し取り上げられていました。

このブログに出会えて、とても嬉しいです。
勝手ながら、リンクさせていただきました。

また遊びに来ますね。

カモミール様

はじめまして。
コメントを残してくださいましてありがとうございます。私もヴィクトリア朝の醸しだす雰囲気が好きです。時々、テレビのドラマでヴィクトリア朝が舞台になっている番組があると思わず見入ってしまいます。ヴィクトリアンのアンティークにも興味がありますが、高くて買うことができないので博物館めぐりで我慢をしています(笑)。
リンクありがとうございます。私もリンクさせていただきました。時々、遊びに行きますね。


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