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2023-06

ゴッホの軌跡を訪ねて

2010年8月12日 アルル
 南仏の明るい太陽を求めてゴッホがアルルの街にたどり着いたのは、1888年2月のことでした。彼は芸術家たちがお互いに切磋琢磨しながら共同生活を営むことを夢見ていました。
 彼のよびかけに対し、同年10月にゴーギャンがアルルにやって来ました。「ひまわり」や「夜のカフェテラス」などの名作が描かれたのはちょうどこの頃でした。

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Le Cafe La Nuit Vincent Van Gogh
 ゴッホが描いた「夜のカフェテラス」のモデルになったカフェです。黄色の壁が印象的です。彼がこの街に暮らしていた頃、彼もこのカフェに腰を下ろし、街行く人たちを眺めていたのでしょうか。私たちも街歩きに疲れたので、このカフェで冷たいものを飲みながらしばしの休憩をとりました。(冷たいレモネードを注文したつもりが、お酒が運ばれてきてしまいました。)

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「夜のカフェテラス」 画像を salvastyle.com より拝借

 激しい個性の持ち主である二人の共同生活は時がたつにゆれてギクシャクしたものになりました。精神状態が不安定になったゴッホはある夜、ゴーギャンめがけてアブサンの杯を投げつけました。
 翌日、ゴーギャンはアルルを去る決心を固めて外に出ました。背後に人の気配を感じたゴーギャンは、振返ると剃刀を手に自分を睨みつけるゴッホを発見しました。ゴッホは彼自身の耳を剃刀で切取り、娼婦の元に送りつけました。
 この事件の後、ゴッホはアルルの住民によって病院に収容されました。翌年、本人の希望でサン・レミド・プロヴァンスの病院に移りました。1890年にはパリ近郊に移り住みますが、2ヵ月後には自らに銃口を向けました。

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エスパス・ヴァン・ゴッホ
 ゴッホがアルルで入院していた病院は、現在は図書館や学校などが入るカルチャースペースとして開放されています。よく手入れされた花壇には色とりどりの花が咲き乱れていました。立つ場所によって違った眺めが楽しめました。明るく華やかな印象の広場でした。
 ゴッホの死後、人々は彼の軌跡を求めてこの街にやってきます。観光客用のお店には、彼の絵がモチーフになったお土産品が並び、アブサンにさえも彼の自画像のステッカーが貼られています。かつて彼が描いたカフェには彼自身の名が冠されています。もしも、今、彼がアルルに戻って来たら何を思うのでしょうか。眩しい太陽の下で微笑んでくれるでしょうか。

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「アルルの病院の庭(アルルの療養院の庭)」 画像を salvastyle.com より拝借

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ゴッホの話、興味深く拝見しました。
そこまで自分を精神的に追い込まないと、
究極の美は紡ぎだせないのでしょうか。

また名画が描かれた場所を訪ねるのもとても興味深いですね。
私もアルルに行ってゴッホの足跡をたどってみたいです。

因みにパリ郊外にあるモネの睡蓮を描いた池には行ったことがあります。
感動しました。

ihatov1001 様

こんにちは。コメントを残してくださいましてありがとうございます。
以前、BBCでゴッホの生涯を再現したドラマが放送されていました。そのドラマがとても面白くて、ゴッホに興味を持ち始めました。ドラマを見た限りでは、彼の人生は全てにおいてエキセントリックで、中間がないというか、極端というか、最高と最低の間を行ったり来たりしていたようでした。私のような凡人は、「普通、中間がいいのに。」と思ってしまいますが、天才画家はそうは考えなかったようです。ihatov1001さんもおっしゃるように、そこまで自分を精神的に追い込まないと、究極の美は紡ぎだせないのでしょうか。
私もモネの睡蓮の絵が好きです。初めての海外旅行でパリのオランジュリー美術館に行ったときはとても感動しました。郊外の池には行ったことがないので今度、行ってみたいです。

ゴッホとゴーギャン二人の関係を始めて知りました。勉強になりました。感謝いたします。
まもなく名古屋でゴッホ展がありますので、行くつもりです。
それにしても文章能力が高いですね。あやかりたいものです。

ふうてんの旅人様

こんにちは。コメントを残してくださいましてありがとうございます。
ゴッホとゴーギャンの関係などは、たまたまテレビで放送していたゴッホのドキュメンタリードラマで知りました。そのドラマが非常に面白くて、その後、ゴッホに興味を持つようになりました。私は絵画の知識は皆無ですが、ゴッホの絵の素朴さが好きです。ゴッホ展に行かれるのですね。私もロンドンのナショナルギャラリーでゴッホの絵を数点、見ましたが、ブログで記事にした絵は実際に見たことがありません。機会があれば実物を見てみたいものです。
文章をお褒めいただきましてありがとうございます。恐縮です。まだまだ未熟です。精進しなければ。

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