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2023-03

「モンテ・クリスト伯」の舞台を訪ねて

8月10日 Château d'If(シャトー・ディフ)
 今回の旅行の最大の目的は、マルセイユから観光ボートでアレクサンダー・デュマの名作「モンテ・クリスト伯」の舞台となったイフ城を訪れることでした。

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ボートから眺める遠くに見えるイフ城

 主人公のエドモン・ダンテスは聡明な若き船乗りです。航海中に船長が病死し、ダンテスは船長の遺言でナポレオンの流刑地であるエルバ島に立寄ります。彼はそこでパリのノワルティエ氏宛の手紙を託されます。船長亡き後、ダンテスは船長に昇格することを約束されますが、それを嫉んだ船の会計係、ダングラールの罠にはめられます。
 ダングラールはダンテスの隣人カドルッスにダンテスの恋敵であるフェルナンを紹介させます。ダングラールは、フェルナンにダンテスがナポレン派の一味であるかのように吹聴し、検事宛の密告書を届けさせます。ダンテスは自身の婚約披露パーティーの際に逮捕されます。
 ダンテスを取調べた検事代理のヴィルホールは、ダンテスの預かった手紙が自分の父親であるノワルティエに宛てられていることに気づき、証拠の手紙を隠滅します。この時代、身内からナポレオン派を輩出することは身の破滅につながりました。そして、ダンテスを一生イフ城に投獄するように手配しました。
 失意のダンテスは獄中で同じく政治犯として投獄されていたファリア神父に出会います。ダンテスは神父から学問を授けられ、神父の死の間際には宝のありかを託されます。神父の遺体と入替わることでイフ城を脱出するダンテスですが、実に投獄から14年の歳月が経過していました。ダンテスは宝を手に入れ、自らをモンテ・クリスト伯と名乗ります。「モンテ・クリスト伯」は自らを陥れた人々に罪に見合った復讐を遂げていくという復讐劇です。ダンテスが一人、また一人と復讐を果たす姿には溜飲が下がる思いがします。

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暗い牢獄 硬い鉄の格子から 眩しい海
 無実の罪で14年の歳月をこの暗い獄中で過ごしたダンテスの胸中を思うと胸が一杯になりました。「モンテ・クリスト伯」は実話ではありませんが、私は、ダンテスがこの牢の中でかすかな希望を胸に抱いたり、絶望の淵に落込んだり、学ぶ喜びに胸を躍らせた姿をひしと感じることができました。

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イフ城
 実際のイフ城は、1524年から1531年にかけてにフランソワ1世の命によって島を防衛するための要塞として建設されました。イフ城は完成からわずか数年後には牢獄として使用されるようになりました。四方を海に囲まれた立地条件は囚人の脱獄を不可能にし、牢獄としては理想的な環境でした。
 1685年のルイ14世によるナントの勅令の廃止後には、多くのユグノー(新教徒)たちが投獄されました。同時に、ミラボー伯のような名門の子息たちもイフ城に軟禁されました。当時の監獄では、金銭によって設備の整った牢に滞在したり、質のよい食事を得ることができたため、富や身分のある者は獄中でもそれなりに快適な暮らしをしていました。

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イフ城がかつて要塞であったことが偲ばれます。

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おはようございます!

海がとっても綺麗で、素敵です!!!
今年、諸事情により、全く海にいってないので、
真っ青な海、恋しくなりました♪

お写真とるのがお上手ですね♪

三十路オンナ 様

こんにちは。コメントをありがとうございます。
私も泳げないくせに海が大好きです。海を見ているだけで幸せな気分になります。
写真をお褒めいただいてありがとうございます。
私の写真技術が優れているのではなく、海があまりにも綺麗なので美しく写りました。
本当に、青い海はいいですよねー。


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