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2015-05

ムーア人の城跡

 シントラ観光の三大巨頭といえば、シントラ宮殿ペーナ宮殿、そして、ムーア人の城跡です。ムーア人は、北西アフリカのイスラム教徒のことで、レコンキスタ以前は、彼らがイベリア半島を統治していました。

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 9世紀頃にムーア人が築いたという城壁と、遺跡のいくつかを見学することができますが、シントラ宮殿とレガイラ宮殿を別とすれば、シントラの主な観光名所は辺鄙な場所にあります。一つ一つの場所が離れているため、歩いて移動するには無理があります。

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 市内観光に便利な434番のバスは、シントラ駅前から発着します。シントラ宮殿、ムーア人の城跡、ペーナ宮殿の順にめぐります。駅からシントラ宮殿までは徒歩で10分ほどです。街並みを眺めながら歩くにはちょうどよい道のりなので、宮殿までは、あえてバスに乗らないで散策するのもよいでしょう。
 チケットは車内で購入します。5ユーロですが、同じ番号のバスへは乗り降り自由の1日乗車券になります。リスボンから日帰りの場合は、リスボンへの往復チケットと、シントラの主な観光名所、さらには、ロカ岬やカスカイス行きのバスにも乗車できる、1日乗車券がお得です。リスボンのロシオ駅で購入できるそうです。

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 シントラ宮殿、ムーア人の城跡、ペーナ宮殿の共通チケットがあります。別々に購入するよりもお得で、並ぶ手間も省けます。私たちはシントラ宮殿で購入しました。ただ、売り場には共通チケットに関する表示がありませんでした。ほしい場合は、スタッフに尋ねるとよいと思います。

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 私たちがこの場所を訪れた日は、大変な強風で、一日中ビュービューという風の音が鳴りやむことはありませんでした。ただでさえも高所恐怖症の私。途中で歩みを止めて、岩につかまらなければ、まっ逆さまに吹き飛ばされそうになることが何度もあり、ひどく恐ろしい思いをしました。入場料まで支払ってこんなに怖い思いをするなんて、一体、自分は何をしているのだろうと、情けなくなりながら頂上を目指しました。

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 城壁に沿って歩くには、細くて急な階段を登って行かなくてはなりません。あまりの強風と恐怖におののいた私は、不本意ながら、脇道を通ることにしました。ここなら坂道を歩きながら、時々見える城壁に登るだけで頂上にたどり着くことができます。ただし、登り切った時の充足感は半減します。

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 高台からは、シントラの街並みを一望することができます。大変に趣味の悪いペーナ宮殿もくっきりと見えます。次なる目的地はこの宮殿です。

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のど飴誕生感動秘話

 今回のポルトガル旅行の目的の一つは、聖人のど飴を全種類、制覇することでした。前回、ポルトに行ったときには、パッケージに描かれているお方が、フランシスコ・ザビエル様だとは知らずに、自分用には一袋しか購入しませんでした。
 残念なことに、シントラでもリスボンでも、ザビエル様には一度もお目にかかることはできませんでした。その代わり、ポルトガルではどこにでも売っている Dr. Bayard(ドクトル・バヤード)を購入しました。レトロなパッケージが個性的で、缶入りのものもあります。
 スースーするミント系の味を想像していましたが、食べてびっくり、とても甘いのです。ほんのりハーブ風味のはちみつ味です。リコリスの味に少しばかりクセはありますが、気になるほど強烈ではありません。

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Dr. Bayard

 ホームページには、Dr. Bayard 誕生秘話が載っています。素敵なお話しなので、ここでご紹介したいと思います。
 1939年、Álvaro Matias は故郷を離れ、リスボンの食料品店で働いていました。第二次世界大戦勃発当初、リスボンには、裕福なヨーロッパ人たちが大勢、疎開してきました。そのために、食糧不足が懸念されつつありました。
 ある日、フランス人紳士がアルバロの店を訪れました。フランス語をあまり上手に話すことのできないアルバロでしたが、なんとか注文を受け、紳士は満足顔で買い物を終えました。その日以来、彼はアルバロの店の常連客となりました。
 フランス人紳士、ドクトル・バヤードは、アルバロにフランス語を教えるようになり、二人は友情を深めてゆきました。しかし、リスボン滞在中にバヤード氏の財政状態は悪化し、アルバロは彼のために、食糧を都合してやらなければなりませんでした。
 やがて戦争が終わり、バヤード氏は家族とともにフランスへ戻ることとなりました。自分たちを助けてくれたポルトガル人の友人に深く感謝し、彼がその時、持っていた唯一の、そして、とても価値のあるものをアルバロへ贈りました。
 その贈り物とは、バヤード氏が開発したのど飴の製法でした。アルバロは、家族とともに小さな工場を買い受け、のど飴を作り始めました。今日90歳を迎えアルバロは、工場の経営を息子と孫に託しましたが、現在でも1949年以来、変わらぬ製法で、のど飴を作り続けています。

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レガイラ宮殿

 レガイラ宮殿は、シントラ宮殿より徒歩で15分ほどの場所にあります。私が持参した10年前のガイドブックには、詳しい説明は載っていませんが、シントラ宮殿やペーナ宮殿とともに「シントラの文化的景観」の名称で世界遺産(文化遺産)に登録されています。

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レガレイラ宮殿 外観

 大富豪であったアントニオ・モンテイロが、レガイラ男爵から買い受けたこの宮殿は、もともとは、王族の別荘として12世紀に建てられました。ゴシック風、ルネサンス風、マヌエル風など、様々な建築様式が混在します。モンティロ氏の要請で、イタリアの建築家ルイジ・マニーニが、改築に着手したのは、20世紀初頭のことでした。

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 庭園には、今までに訪れたどの場所とも違う、一種独特の雰囲気が漂っていました。この地域のものなのか、装飾として使われている石には、ところどころに窪みがあります。それが、まるで、しゃれこうべのように見えます。石は、いたるところにあり、何度もぎくりとさせられました。

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 モンテイロ氏は、フリーメイソンや錬金術に傾倒した、異端の人だったそうです。宮殿内には、キリスト教のモチーフにカモフラージュされた、フリーメイソンの意匠がいたるところに見られるのだとか。
 ガイドツアーでは、そのシンボルなどの見所を詳しく解説してくれるそうです。ツアーのことは、宮殿を訪れた後にホテルのスタッフから聞きました。行く前に知っておきたかったです。

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 天国と地獄を現しているという塔。冒険小説の世界に出てきそうです。

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 階段を登れば、洞窟を歩けば、道は必ずどこかへつながっています。まるで、おとぎの国に迷い込んでしまったかのようです。あっちへ行くとどこに出るのか。こっちに行けば何があるのか。宝探しのように探索しながら、何時間でも過ごせてしまう素敵な場所です。

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 洞窟を通って、暗い地下道に下りてゆきます。地下道は井戸につながっています。持参したペンライトを照らしながら、真っ暗な道を歩きましたが、反対方向から明かりが見えるとドキッとしました。向こうから来た人たちも同じ思いをしたに違いありません。

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 イニシエーションの井戸とよばれる深さ30メートルほどの井戸へは、らせん階段でも下りることができます。らせん階段は、9段階になっており、地獄の9圏をくぐるという、ダンテの「神曲」を象徴しているそうです。
 私たちは真っ暗な井戸の底から、らせん階段を登って外に出ました。明るい地上に出たときは、ほっとしました。地上から闇に向かって下りていくときには、また違った感覚を味わうことでしょう。

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 シントラ観光といえば、シントラ宮殿、ムーア人の城跡、ペーナ宮殿の3か所だけが有名で、レガイラ宮殿は、一般にあまり知られていません。英語版ロンリープラネットにも、日本のガイドブック同様、大きく取上げられていないためかもしれません。
 しかしながら、レガイラ宮殿は、今回の旅行で訪れた中で最も興味深い場所でした。フリーメイソンや、その原型となったとも言われている、テンプル騎士団のことをきちんと勉強してから訪れると、感動が更に深まりそうです。

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リスと花とヒトと

 せわしなく動き回るリスはロンドン中に生息しています。公園など緑の多い場所では勿論、市街地でも街路樹を駆け登るリスの姿を見ることができます。このリスたちは、かわいい顔をしていますが乱暴者もいるので注意が必要です。ナッツやパンくずを投げてやると大抵のリスは、餌を持っている人の傍に寄ってきてお行儀よく餌を食べますが、凶暴なリスは人の頭に載って爪を立てます。
 私は以前、奇声を上げながら赤い花を食い尽くすリスを見たことがあります。彼は公園の花壇に陣取って、バリバリと音を立てながら花をむさぼっていました。色とりどりの花が咲いていましたが、彼はなぜだか赤い花だけを選んで食べていました。食べながら、あの小さな体からは想像ができないくらい大きな声で鳴いていました。それは朝の出勤途中の出来事でしたが、背筋が寒くなるような光景でした。私は思わず足を止めてしばらくの間リスに見入ってしまいました。道行く人たちもびっくりして足を止めていました。隣の人と「これ、リスだよねぇ。」と確認し合う人もいました。

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木に登るリス

 どこででも目にすることができるこのリスは American grey squirrels という種類で1800年代にイギリス国内にもたらされた外来種です。イギリスにはもともと English red squirrels という在来種が生息していましたが、grey の数が増えたために生息数が激減しました。grey は、red に比べて食べ物の許容範囲が広く攻撃的な性質を持っています。更に grey は red にとっては致命的な病原菌を運んできました。この菌は grey にとっては命の脅威ではありません。
 私は English red squirrels を一度も見たことがありませんが、現在はこの red を保護する活動が行われています。このままでは、grey が人間の手によって駆逐される日も近いような気がします。自然の摂理とはいえ同じリス同士、仲良く共生できないというのは全く残念な話です。

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American grey squirrels
 普段はどこにでもいる灰色リスですが、いざ写真を撮ろうとするとなかなか見つけることができませんでした。しかも、私がカメラを手に近づいていくとすばしっこく逃げ出しました。

 外来種が在来種を脅かすという現象は、イギリスの春を代表する花である Bluebell(ブルーベル)にも及んでいます。現在イギリス国内で見ることのできるブルーベルは、在来種のイングリッシュブルーベルと外来種のスパニッシュブルーベル、そして二つの交雑種の三種類です。残念ながらこちらも優勢なのは外来種と交雑種です。

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Bluebell
 家の近所に咲いていたブルーベルの写真です。恐らくスパニッシュブルーベルか交雑種です。スパニッシュブルーベルは、イングリッシュブルーベルより薄い青色で花が大きく開いていているのが特徴です。

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Whitechapel Market(ホワイトチャペル・マーケット)にて 優勢な外来種のヒトビト
 私も外来種です。ヒトビトは仲良く共存しています!?イギリスの寛容さに感謝。

参考文献:BBC NewsForestry Commission 公式ホームページ

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