イーストロンドン散策
まずはベーグル屋さんのスモークサーモンサンドで腹ごしらえ。これを食べないことにはイーストに来た甲斐がありません。ベーグルは好きでよく食べますが、私はここのものが一番だと思います。お土産用にプレーンのベーグルもどっさり購入しました。

Le Grenier
今回のイーストロンドン散策の目的はヴィンテージショップめぐりでした。Brick Lane(ブリック レーン)の近くにある Le Grenier は私の好きなものの宝庫でした。
店内のかわいらしいディスプレーに刺激されました。店内は広いとは言えませんが、とてもよくまとまっていました。私のコレクションも数がだんだんと増えてきました。これからはいかに美しく飾るかが課題です。色でまとめる。テーマでまとめる。ディスプレーすることを考えると楽しくなってきます。

Regent's Canal(リージェント・カナル)
ヴィンテージショップのあとは、 Broadway Market(ブロードウェー マーケット)を目指しました。ナローボートが停泊する運河が見えてくると目的の場所はすぐそこです。

ヴィンテージショップ
土曜日にファーマーズマーケットが開かれるブロードウェー マーケットには、おしゃれなカフェやショップが軒を連ねています。私が訪れたのは木曜日だったので土曜日ほどの活気はありませんでしたが、レストランの客の入りは上々で、外のテーブルで食事を楽しむ人日の姿が目立ちました。

ひつじさんのおめめに注目
ブロードウェーマーケットの近くには大きな公園があり、近所の子どもたちが元気よくサッカーボールをけっていました。ここは、おしゃれなショップが立ち並ぶ通りを一つ隔てると、カウンシルフラット群が広がる庶民的な地域です。新と旧、富と貧困、保守と前衛、それらが交錯した混沌とした雰囲気がイーストロンドンのおもしろさです。
パウンドの誘惑


JAJ Pyrex June Rose
すぐにこのボウルを発見しました。普通、チャリティーの商品には値札がつけられていますが、ここでは、値札がなく、カーブーツセールのようにお店の人に値段を尋ねなければなりません。いつも店番をしているおじさんは、古物をよく知っていて高い値段をつけるのですが、その日は彼が不在で、かわりに東欧系のおにいさんが店番をしていました。これはラッキーと、すかさず値段を尋ねました。おにいさんはボウルを見もしないで「パウンド(1ポンドのことです。)」と答えました。私が購入したのはいうまでもありません。男の人は、ガラクタに見えるものには、何でもパウンドと言います。「パウンド。」なんと甘美な響きなのでしょうか。
パイナップルのチーズ
その願いが、ここロンドンで実現しました。スーパーで House of Castello Pineapple Halo という商品を見つけました。最初は、チーズにパイナップル?と半信半疑でしたが、試しに買って食べてみるとクリーミーでとてもおいしいことに驚きました。チーズというよりは、デザートの感覚です。クリームチーズにパイナップル、パパイヤとアーモンドが散らしてあります。久々にレアチーズケーキを食べているような錯覚に陥り、知らぬ間に一パックを完食していました。あったらあっただけ食べてしまいそうなので、時々しか買わないことにします。


House of Castello Pineapple Halo
私は基本的にチーズがあまり好きではありませんが、アプリコットやクランベリーが練りこんであるほんのり甘いチーズは好きです。買ったら最後、一気に全部、食べてしまうので要注意です。
テューダーキッチン
ヘンリー8世は千人以上の宮廷人を抱えていましたが、そのうち宮殿内で食事を取ることが許されたのは八百人ほどでした。二百人もの使用人がキッチンで働き、一日二回の食事の準備をしていました。


大切なお客様をもてなすためには、ローストした肉がふるまわれました。二人の職人が火の前に立ち、串刺しにした肉をまわしながら調理しました。燃えさかる火の前で重たい肉を操るのは、かなりの重労働だったことでしょう。
ヘンリー8世自身も肉ばかりを食べていたそうで、壊血病にかかっていたという噂もありました。彼の体型からは想像に難くありません。
テューダー朝では、豚肉は貧乏人の食べ物であるとされ、宮廷内で調理されることはありませんでした。トンカツ、しょうが焼き、角煮、豚肉料理を挙げればおいしそうなものばかりです。そのようなことを思ってしまう私は、とても宮廷などに上がることはできそうにありません。しかしながら、この時代の庶民にとっては豚肉でさえも贅沢品であったといいます。

肉の入ったパイもよく調理されました。耐熱皿がなかったこの時代には、パイ皮はオーブンに入れるためのお皿の役割を果たしていました。そのような理由で、この時代には皮はサーブされる前に剥がして捨てられたそうです。今考えるとなんとも勿体無い話です。

大量の食事をサーブするためには、大量の食器を必要としました。この時代にはピューターの器が使用されていました。銀色で統一された食卓の風景は荘厳であったに違いありません。しかしながら、私は陶磁器の華やかさを好みます。陶磁器と違って割れる心配がなかったピューターは、使用人たちにとってはありがたかったことでしょうけれども。

意外だったのは、ビール好きの国イギリスで、この時代には大量のワインが消費されていたということです。庶民の口に入っていたのかは甚だ疑問ですが、宮廷では年に三百樽ものワインが飲まれていたそうです。ビールも六十万ガロン(英国の1ガロンは約4.546リットル)も消費されていました。イギリス人の恐るべし Binge Drinking(ビンジ ドリンキング:アルコールを短時間に暴飲すること)文化は、この時代から花開いていたようです。あぁ、恐ろしや。
アンティークの街ルイス

ルイスにはこのようなアンティークセンターが何軒もあります。広い店内にはたくさんのストールがあり、それぞれのディーラーさんが思い思いに商品のディスプレーをしています。委託販売なのかストールは無人で、どの商品も正面玄関そばのレジで会計をします。

商品は銀器から絵画、焼き物、玩具、書籍にいたるまで、ありとあらゆるものが揃っています。観光地で売っているような民芸品まであります。お値段は、各ディーラーさんに任されているようで、高価なものもありますが、ほとんどのものは、ロンドンのショップで買うよりも安かったように思います。よく探せばチャリティーショップやカーブーツセールなみの値段で買うことのできるお宝もあります。10ポンド以下で買えるものも多数あり、アンティーク好きなら頭に血が上ること間違いなしです。

ルイスのアンティークショップの特徴は、正統派のアンティークに加えて、ジャンク、ヴィンテージ、コレクティブルの商品が多いことです。大多数のジャンクにアンティークが程よく混ざり合っていると言ったほうが正確かもしれません。私の好きなヴィンテージ食器もたくさんあって、見ているだけでも楽しくて楽しくて。

中心街にある、Cliffe High Street(クリフ・ハイストリート)には、アンティークショップが軒を連ねています。どのショップも17時には閉店してしまうので、私たちは休みなしでアンティークハントを続けました。どのショップにも無数に商品があり、アンティークが好きで好きでたまらない私でも、帰る頃には、さすがにもういいかなという気分になりました。
この私を唸らせるとは、ルイス、なかなかやるな。と勝手にひとりごちた私は、また何回でも来てみようと思うのでした。
のどが痛くなったら
イギリスは日本ほど飴の種類が豊富ではありません。ミントかリコリスか甘ったるいだけの何味かよくわからないフレーバーのものがほとんどです。
このハニーレモンには、レモンのすっぱさとはちみつの甘さを期待していましたが、実際は、ほんのりレモン風味のミント味でした。味としては悪くありませんが、いささか期待はずれでした。それもそのはず、発売元のジェイクマンズは、ミントベースの飴を専門に製造している老舗のお菓子屋さんです。ブルーベリーやブラックカラント味もあるそうです。しかしながらブルーベリーとミントは合うのでしょうか。チョコミントが苦手な私にとってはハードルが高そうです。何はともあれ、一度は試してみないと。
ピノッキオ
ピノッキオの作者であるコッローディはフィレンツェの生まれであることから、フィレンツェのお土産屋さんには大小様々なピノッキオグッズが並んでいます。私の家にあるピノッキオ君も旅行に行ったときに購入したものです。

ピノッキオと言えばディズニー映画のイメージが強いですが、原作はイタリアの作家、カルロ・コッローディの「ピノッキオの冒険」という児童文学です。その物語は、子ども向けの作品でありながら法制度や当時の社会、政治を風刺する内容を含んでいるそうですが、私は、子どもの成長物語、または、冒険物語として、感動しながらも愉快に読むことができました。怠け者で、うまい話にはすぐに騙されてしまうピノッキオですが、自分の愚かさに気づいたピノッキオが働いてゼペットじいさんを助けるくだりは、泣かせます。ピノッキオさん、不器用でもよいからまっとうな大人におなりなさいね。
「えらいのね、ピノッキオ!あんたのやさしい思いやりのお礼に、きょうまであんたのしてきたいたずらをみんなゆるしてあげましょう。じぶんの親が貧乏や病気でこまっているとき心から親孝行する子どもは、いつでもうんとほめてもらい、うんとかわいがってもらう資格があるので。たとえその子が、いいつけをよくまもり、お行儀のいいお手本になるほどでなくても、ね。これからさきもよく考えておやりなさい。そうすればあんたはしあわせになれるでしょう。」
ピノッキオの冒険より コッローディ:作 杉浦明平:訳 岩波少年文庫