「かさじぞう」に学ぶゆく年くる年
雪が降りしきる大みそか、おじいさんは、お地蔵様に雪が積もっているのを忍びなく思い、笠をかぶせてあげました。
お正月の用意をしようとこしらえましたが、市では全く売れなかった笠でした。
その夜、おじいさんのもとには、お正月に必要な米やら魚やらがたくさん届きました。
おじいさんのやさしさに報いようと、お地蔵様が運んでくれたのです。
この昔話は、他人によいことをすれば自分にそれが返ってくるということを示した訓話だということは誰もが知っています。
さらに深く読み込むと、それ以上に大切なことを私たちに教えてくれていることに気づくのではないでしょうか。
お地蔵様に笠をかぶせていたおじいさんは、笠がひとつ足りなくて、代わりに自分のほほかむりをかぶせてあげます。
売れなかかった笠(自分には必要のないもの)を他人にあげるのは、誰にでもできることです。
しかし、今自分が必要としているものを他人に差し出すことは容易なことではありません。
おじいさんには、それができたのです。
そして、お正月の用意どころか無一文で帰ってきたおじいさんを責めるどころか「それはよいことをなされた」と迎えたおばあさんのやさしい心も、おじいさんの行いと同じだけ尊いということを、この民話は教えてくれます。
やさしい心を持ちなさい。
やさしい心を持つ人とともに喜びなさい。
だからこそ、おじいさんとおばあさんは、ふたりで幸せになれたのです。
おじいさんやおばあさんのように行動するのは、簡単なことではありません。
傲慢な心を捨て、謙虚に感謝しながら生きられるようになりたいものです。
民話に学ぶ
吹雪のなか、おじいさんは売れなかった笠と自分の笠とをお地蔵様にかぶせ、
おばあさんは「お地蔵様に笠をあげてよかった」とおじいさんのやさしさを喜びます。
お地蔵様はそんな二人の謙虚な心に報い、
二人はいつまでも幸せに暮らすことができたといいます。
誰もが知る日本の民話は、
おじいさんの行動、おばあさんがそれを認めて喜ぶことには同等の価値があると教えてくれます。
やさしい心を持ちなさい。
やさしい心を持つ人を称えなさい。
だからこそ、おじいさんとおばあさんは、二人で一緒に幸せになれたのです。
自分は傲慢ではなかったか、
来年は謙虚に生きられるかと、
一年の締めくくりの日、民話を読みながら、自らに問うてみることにしています。
穴があったら入りたい
相棒曰く、「おじいさんが売れなかった笠をお地蔵様にかぶせるシーンがあるよね。そこでね、僕、すごくドキドキしちゃったよ。おじいさん、やめときなさいって、そんなことしたらおばあさんに半殺しにされるよって。でも、家で待ってたおばあさんが『おじいさん、それはよいことをしなさいました』って言ったときには本当にびっくりしちゃったよー」と。
私には返す言葉も見つかりませんでした。私は一体、どんな強欲婆なのでしょうか。
しかし相棒よ、君はこの物語の美しさと教訓とを全く理解しなかったようだね。
それも私のせいなのか...。
ゆく年くる年、猛反省。
どっとはらい。
どんどん増える本
私は私でレトロなヴィンテージ絵本を見つけてはつれ帰り、相棒は相棒で通勤のお伴にアンティーク本を掘り出しては持ち帰ってきます。今では、やむにやまれず本を積み上げています。
ディケンズは人気作家だっただけあり、彼の著書は、古本屋ではもちろんのこと、カーブーツセールやチャリティーショップでも手ごろな値段で手に入れることができます。私は、気の遠くなるほど細かい文字で書かれている分厚い本など読む気はしませんが、眺めては楽しんでいます。古書って素敵です。


「アラビアンナイト」は Lewes(ルイス)のチャリティーで購入しました。3冊で1ポンドの中途半端に古いペーパーバックの山にまぎれていました。いくらルイスがアンティークの街だとといっても、それは安すぎでしょう。とほくほく顔で掘り出した私の手に握られているこの本を見て相棒は、「以心伝心だね。どうして僕の読みたい本がわかったの。」といたく感動しておりました。私は彼の心を読んだのではなく、装丁の美しいアンティーク本を見つけて喜んでいただけなのですが。
こんな調子でどんどん本が増えていきます。大きな本棚が置ける大きな家に住みたいです。
ミレルのえほん
ミレル氏は子ども向けのアニメーションを数多く製作しました。代表作はクルテク君のシリーズです。クルテク君は、チェコでは国民的キャラクターなのだそうです。このアニメはチェコを始め、多くの国々で放映されました。日本では、NHKで「ゆかいなもぐら」というタイトルで放送されていたそうです。また、絵本もたくさん出版されています。
クルテク君もかわいいですが、ミレル氏の作品の中で私が好きなのは、「しりたがりやのこいぬ」君のシリーズです。日本でも3冊の絵本が出版されています。私は、好奇心旺盛なこいぬ君の姿にメロメロです。こいぬくんのおしりに注目してください。かわいすぎます。
チェコのアニメーションや絵本が飛躍的に発達したのは、チェコが40年もの間、ソ連の支配下にあったという歴史的な背景があります。表現や言論の自由が奪われていたために、才能ある芸術家達は、比較的制約の少なかった子ども向けの作品に自分の思いを表現したそうです。
ルパートベア

ルパートベアの連載は、ライバル紙 Daily Mirror(デイリー・ミラー)に対抗するために始められました。その漫画は Rupert Annual(ルパート・アニュアル)として年に一度、本になります。1936年以来、毎年、出版されてきました。戦時中の紙不足の時代も例外ではありませんでした。
また、Rupert Little Bear Library(ルパート・リトル・ベア・ライブラリー)という絵本シリーズも出版されていました。この絵本は、Woolworth(ウールワース:庶民的な日用品全般を扱う大規模チェーンでしたが、2009年に閉店しました。)で独占販売されていました。


ルパートは Nutwood(ナットウッド)という村に両親と一緒に住んでいます。Rupert and the Magic Toy Man(ルパート・アンド・ザ・マジック・トイ・マン)では、魔法使いによっておもちゃに変えられてしまったお姫様と彼女の国を救うために、ルパートが奮闘します。ルパートのおはなしは冒険物語が多いです。

現在のルパートはシロクマですが、最初は茶色でした。印刷コストを抑えるために途中から白くされたそうです。笑えるエピーソードですが、アニュアルの表紙に載っているルパートが茶色なのはそのような理由からです。また、複数の作家によって描かれているためか年代によってルパートの姿が微妙に違っています。
私はむかし風のもっさりと熊熊しいルパート君が好きです。現在のルパートは洗練されすぎです。とはいってもこのクマさん、「ブサかわいい」というのが私としての最大限の賞賛の言葉です...。あぁ、ルパート君って、あまりかわいくないのねぇ。
ピーターラビットの絵本

うちのピーターが自らのいたずらを読まされて恥ずかしがっています。反省しているようなので許してあげることにしますが、このこは、ラディッシュをどこかにおいてきてしまいました。

それから、まず、れたすをなんまいかたべ、それから、さやいんげんをたべ、それから、はつかだいこんをなんぼんかたべました。
そのうち、ちょっと むねが むかむかしてきましたので、ぱせりを さがしにいきました。

きのどくに、ピーターは そのばん、おなかのぐいあが よくありませんでした。
おかあさんは ピーターをねかして、かみつれをせんじて、ピーターに 1かいぶんのおくすりをのませました。「ねるまえに 大さじに 1ぱいですよ。」
「ピータラビットのおはなし」より ベアトリクス・ポター:作・絵 いしいももこ:訳