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2023-09

ウィーン観光ハイライト

 ウィーンは大きな都市ではありませんが、見所がたくさんあります。短い旅行日程ではありましたが、できるだけ多くの場所を訪れようと歩き回りました。その記憶がうすれないうちに、ここに記録しておきます。

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ブルクガルテン モーツァルト像

 音楽の都ウィーン。音楽とは無縁の生活をおくっている私たちは、ト音記号が目印、王宮庭園(ブルクガルテン)にあるモーツァルト像を見ることと、お土産にモーツァルトチョコを買うことだけで、旅の音楽部門を終了させてしまいました。
 今考えるともったいないことをしたと思います。ウィーン少年合唱団のコンサートに行くとか、せめて教会の無料コンサートにでも行っておけばよかったです。

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ナッシュマルクト オリーブの食器がかわいい

 ナッシュマルクトは、ウィーン市民の台所、食品市場です。ここを訪れて驚いたことは、生鮮食料品のストールよりもレストランやカフェの数が多いということでした。市場ということで、ごみごみ雑多とした場所を想像していましたが、おしゃれなレストランもたくさんありました。

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ナッシュマルクト おいしそうな果物が並んでいる

 どこの国でも同じことがいえますが、野菜や鮮魚のストールには、庶民的なエネルギーが満ち溢れています。トルコ系のストールが多かったせいかスパイスの香りがあたりにたちこめていました。オリエンタル(極東)の食材を扱うストールもありました。ヨーロッパにあるオリエンタルストアは、どこもあやしい漢方薬屋さんのように見えます。ここは、市民がエキゾチックな食材を求めにくる場所です。

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ベルヴェデーレ宮殿

 ベルヴェデーレ宮殿は、トルコ軍からウィーンを救った軍人、プリンツ・オイゲン公の夏の離宮でした。彼の死後は、ハプスブルク家のマリア・テレジアの手に渡りましたが、現在は美術館として使用されています。世界最大のグスタフ・クリムトのコレクションを所蔵していることでも有名です。
 外観も美しく、中には素晴らしい絵画を所蔵しているという、恐ろしいほどに贅沢な場所ですが、私たちは、美術館見学はパスして庭園を散策しました。

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ベルヴェデーレ宮殿 庭園

 宮殿を背に庭を見下ろしたときに一つ思ったことがありました。私は以前、ここに来たことがあるのではないかと。この庭園をどこかで見たことがありました。さて、どこでと考えている私の横で、相棒が「ミュンヘンのお城にもこんな庭があったような」と言い出しました。そうです、ニンフェンブルク城と似ているのです。
 後日、ミュンヘン旅行の写真を見ましたが、この二つの宮殿、決して、建物や庭園のつくりが似通っているというわけではありません。全体の雰囲気がそっくりなのです。ヨーロッパの宮殿は、どこも似たような構造になっているということを発見してしまったのでした。

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K+K マリア・テレジア

 最後に、私たちの泊まったホテルはマリア・テレジアです。女帝が愛したという清潔感あふれる黄色い建物が印象的でした。ミュージアムクオーター周辺にあるこのホテルは、グラーベンなどの観光名所に徒歩圏内でとても便利でした。近所には、シュピッテルベルク地区のレストラン街、スパ(スーパーマーケット)もあります。スタッフの対応もとても感じがよかったです。サウナを無料で使用することができましたが、私が行ったときには他の利用客が一人もいない貸しきり状態で、得した気分になりました。
 特筆すべきは朝食ビュッフェです。ハム、チーズ、シリアル、ベーコン、卵など、メニューは一般的でしたが、素材のよさが感じられるおいしさでした。特に、ベーコンとウィンナーはとてもおいしかったです。また、イチゴヨーグルトドリンクがありましたが、まさに「ヤクルトジョア」でした。子どもの頃、大好きでよく飲んでいたジョアのことを思い出し、うれしくて朝食のたびに飲みました。
 マリア・テレジアはもう一度、泊まってみたいホテルの一つです。ホテル運に恵まれていることを感謝しつつ、オーストリア旅行記を終えたいと思います。

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ロンドンが誇る高級老舗デパート「リバティ百貨店」から学ぶ、イギリスの芸術文化と歴史

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世界一美しい図書館

 旅行前から絶対に行きたいと思っていた場所がここ、国立図書館プルンクザールです。宮廷図書館として、マリア・テレジアの父であるカール6世の時代に建設されました。現在はオーストリア国立図書館として一般に公開されています。

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プルンクザール 外観

 スペイン乗馬学校と隣接するこの建物、間口が狭く地味な外観からは、中のきらびやかさは想像できません。

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フレスコ画が美しい館内

 図書館に一歩足を踏み入れて最初に目に入るのは、天井のフレスコ画です。宮廷画家ダニエル・グラーンによって描かれたフレスコ画は、1730年に完成しました。世界一美しい図書館とよばれる所以です。

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創設者カール6世がヘラクレスの姿に神格化された像

 私は無類の本好きです。読むのも好きですが、本に囲まれているだけでも幸せな気分になります。この図書館で働けたら幸せだろうなと、思わずため息をついてしまいました。
 それと同時に、20万冊以上という歴史ある蔵書を前にして、売ったらどれくらいの価値があるのだろうという下世話なことを考えるのを止められませんでした。そのようなことを思いながら館内を歩き回ったり、ベンチに座ったりして長い時間をここで過ごしました。
 
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本棚にぎっしり詰まった本、そして梯子...。

 この図書館は、博物館としてだけではなく、実際に図書館としての機能も果たしています。蔵書は資料として閲覧することができますが、閲覧者は自由に本を手に取ることはできません。司書が資料を探し出してくれますが、高いところにある本は梯子に登って取り出していました。司書の仕事というのは、イメージよりもずっと肉体労働のようです。ここで働けたら素敵だなと思いましたが、高所恐怖症の私には難しそうです。

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イギリスに存在する3つの身分制度とは?日本人が知らない現在の英国階級社会

ギラギラ、それは今は昔。

 私がヨーロッパ旅行に出かけるとき、そこには必ず日本人観光客の姿があります。見かけなかったことはただの一度もありません。私は同胞の姿を見て安堵します。なんだかんだ言っても日本は豊かな国なのだと。
 最近は中国からの旅行者も増えています。同じ東洋人同士、一見するだだけでは、私たちと中国人とは区別がつきません。しかし、よく見ると、服装や持ち物に微妙な違いがあります。
 中国からヨーロッパ旅行に来られるのは、まだ一部の富裕層に限られているのでしょう。彼らは、とても高価なものを身につけています。男性はブランドのロゴの入ったポロシャツ、女性はバック、そして、レンズが長いカメラ。一目で、お金持ちだとわかります。
 一方、日本人観光客、特に若い世代は、近所のコンビニに行ってきますというような気軽な格好をしています。着慣れたTシャツに履きなれたサンダルといった軽装です。よく見ると決して安物ではありませんが、海外旅行に行くのだからという気負いは感じられません。
 二十年前、バブル経済絶頂期の日本人観光客は、ちょうど現在の中国人観光客のように、お金に物を言わせたギラギラと気負った格好をしていたのではないでしょうか。私は中国人観光客にバブルの頃の日本人を重ね合わせて、「嫌われて当然」と思いました。
 精神的な豊かさは、経済成長がピークを過ぎた頃から培われてゆくものなのかもしれません。私が言うのも生意気ですが、日本は自分たちが思っているよりもずっと豊かな国になりつつあるのではないかと思います。

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イギリス観光旅行でおすすめのお土産まとめ。紅茶やお菓子、調味料など喜ばれるギフト9選

ウィーン世紀末建築

 19世紀末のウィーンでは、美術、文学、音楽、建築、思想にいたるまで、芸術、文化的活動が、円熟期を迎えました。この時期には、斬新で人目を惹く新しい芸術作品が多数く生まれました。建築もその一つです。
 ウィーン市街を歩いていると興味深い建物がちらほらと見受けられました。アール・ヌーヴォーが生まれたのもこの時期と重なるので、世紀末建築にはその影響も色濃く反映されています。

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マジョリカハウス
 
 ウィーン市民の胃袋、ナッシュマルクトを訪れたときにピンクでかわいい建物を見つけました。この時代を代表する建築家、オットー・ワーグナーがデザインした集合住宅です。ピンクのマジョリカハウスと金色のメダイヨンマンションが並んで建っています。現在でも一般の方が入居されているそうです。私はピンクのほうに住みたいですが、家賃は高そうです。

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カールスプラッツ
 
 同じくワーグナーの作品、カールスプラッツは、同じ形の建物が二対向かい合って建っています。それぞれ地下鉄駅、博物館として使用されています。
 観光客の私はなんと美しい駅なのだろうと感激しましたが、毎日、通勤などで利用しているウィーン市民にとっては、ただの駅でしかないのかもしれません。ロンドンにもアール・デコ様式の地下鉄駅がありますが、私もあまり意識したことがありません。

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セセッシオン

 ワーグナーの弟子、ヨーゼフ・マリア・オルブリヒがデザインしたセセッシオンは、ウィーンの先進的芸術家グループ「分離派」の活動拠点でした。保守的であった当時の美術界は、彼らの作品を展示することを拒否したため、クリムトら8人の芸術家が独自に分離派としての活動を始めました。このセセッシオンは、現在もギャラリーとして使用されています。

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ロースハウス

 アドルフ・ロースの代表作、ロースハウスはホーフブルク宮殿裏のミヒャエル広場にあります。この広場には、美しく装飾された伝統的な建物が立ち並びます。このような立地条件のため建設された当初は、あまりにもシンプルで周囲の景観に溶け込まないとの批判を受けたそうです。
 当時としては斬新であった装飾を極限まで排除したロースハウス。時代や流行を感じさせないシンプルさは、現代人の私にとっては、歴史的建造物のなかにもしっくりっと溶け込んでいるように見えます。
 現在この建物は銀行として使用されており、1階は小さな博物館になっています。外観もさることながらアール・デコ風の内装も美しかったです。

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アンカー時計

 ウィーン最古の広場ホーアーマルクトには、アール・ヌーヴォー様式のからくり時計があります。アンカー保険会社(現在は社名が変わっているそうです。)所有の二つの建物をつなぐ渡り廊下にこの時計が設置されています。
 ウィーンゆかりの12組の人物が時を刻みます。写真は11時を示すマリア・テレジアとその夫フランツ1世ですが、正午には時計が一周するので全ての人物を見ることができます。私はもちろん、その時間をめがけて広場に向かいました。時計がよく見える向かい側の狭い歩道の上はカメラを構えた観光客で溢れていました。私の時計より5分ほど遅れて正午を告げる鐘が鳴り、それと同時に時計が回り始めました。時計が回り、人も回る。たったそれだけのことですが、飽きずに最後まで見ていました。数々の素晴らしい建造物よりも、私の目にはこのからくり時計が一番でした。

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イギリス入国審査は厳しい?公共交通機関やタクシーの乗り方など、観光旅行時の注意ポイント -前編-

チップはお会計には含まれていません

 私がオーストリアで食べたのは、名物ヴィーナー・シュニッツェルとパプリカをたっぷり使ったソースで煮込んだビーフシチュー、グーラッシュでした。この料理はハンガリーから伝わったものですが、現在では、オーストリアやドイツ、東欧諸国で広く食されています。

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グーラッシュ

 サーブされた一皿があまりにシンプルで驚きましたが、お肉が柔らかくて口の中でトロトロととろけました。つけ合せは揚げイモでした。フライドポテトといっても、チップスのように細長くはなく、ローストポテトのようにコロコロしていたので、チップスに慣れ親しんでいる私にとっては、とても新鮮でした。しかしながら、グーラッシュはパンと一緒に食べたほうがおいしいのではないかと思いました。パンにソースをからめながら、時々お肉をほおばる。考えただけでもよだれが出そうです。

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Witwe Bolte(ヴィトヴェ・ボルテ)

 このグーラッシュを食べたレストラン、ヴィトヴェ・ボルテは、私たちの泊まったホテルのほど近く、シュピッテルベルク地区にあります。相棒は、牛肉のローストを香ばしい玉ねぎソースでいただく、ツヴィーベルローストブラーデンを注文しました。お料理は、どれもおいしかったことをまずはここに記しておきましょう。
 しかしながら、ここは観光客からなんとかしてぼったくってやろうという精神が見え隠れする快くないレストランでした。注文していない前菜を運んできたり、料理のつけ合わせになりそうなメニューの注文を促してみたり。そこに親切心があれば私も腹を立てることもなく、逆にお気に入りのレストランとして紹介することもできたくらいですが、私たちのテーブルを担当していたウェイターの、客を馬鹿にしたような態度が癇に障りました。
 勿論、勝手に運ばれてきた料理、つけ合わせもみなチャージされていました。それは予想していたことでしたし、お料理はとてもおいしかったので、楽しんで食事をすることはできました。食べたらお金を払うのは当たり前のことなので、チャージされていたこと自体には腹は立ちませんでしたが、根底に流れる「何とかしてぼったくろう」という精神が見え見えのところに嫌悪感を覚えました。最後にウェイターがいかにもバカにしたように言った、「間違えないでいただきたいのですが、サービス(チップ)は料金に含まれておりません。」の一言にはカチンときました。そのようなことはいちいち言われなくてもお会計を見ればわかることです。

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グーラッシュ ガストロパブにて

 前日に行ったレストラン、ヴィトヴェ・ボルテでは嫌な思いをしましたが、パリッとしたテーブルクロスがかかる中・高級レストランでは、あのようなサービスは当たり前なのでしょうか。高級な場所にはあまり行かない私には判断がつきません。
 次の日は、ウェイターがジーンズをはいているような(前日のような出来事は絶対に起こりえない)雑多としたガストロパブでグーラッシュをいただきました。こちらには、小麦粉のお団子が入っていました。お味は前日のものに比べるとインパクトに欠けましたが、お値段を考えると大満足でした。相棒の注文したウィンナー入りのグーラッシュもおいしかったです。
 最後にお会計をお願いすると、若いウェイターがニコニコ顔で「この金額に、チップは含まれていないから勘違いしないでね。」と言いました。もしかして、この一言は、ウィーンでは、オーストリアでは一般的なのでしょうか。ロンドンではこのような一言は聞いたこともありません。イギリス人にこんなこと言おうものならチップなどもらえませんから。

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イギリス料理は本当に美味しくないのか?現地民によるメニューの特徴と味の検証!

ウィーン教会めぐり

 気づけばまたカトリックの国を訪れていました。ドイツ語が公用語であるオーストリアでは、ドイツのようにプロテスタントの国であるというイメージを抱きがちですが、カトリック教徒が6割を占めます。しかしながら、4割近い人々がプロテスタントを信仰しているという事実には驚かされました。ヨーロッパでカトリックとプロテスタントが同じくらいの割合で信仰されている国が存在しているとは。

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シュテファン大聖堂 外観

 リンクとよばれるウィーン歴史地区にあるシュテファン大聖堂は、荘厳なゴシック建築です。ウィーンのシンボルともいえるこの大聖堂は、ハプスブルク家の墓所であるほか、モーツァルトの結婚式と葬儀が執り行われた場所としても知られています。

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シュテファン大聖堂 内陣

 外観の荘厳さとは裏腹に、内部は拍子抜けするくらい没個性的です。内陣に入るには入場料が必要ですが、その周囲は自由に見学することができるので、私は外側から内陣の写真を撮るだけにしました。その都市を代表する大聖堂は、どれも大掛かりにきらびやかですが、どこも同じように見える嫌いがあります。

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ルプレヒト教会 外観

 大聖堂よりも、私は小ぢんまりとした教会を好みます。ウィーン最古の教会であるルプレヒト教会は、閑静なユダヤ人街にひっそりと建っています。私が訪れたのは午後3時くらいで周囲のレストランやバーは扉を閉ざしており、とても静かでした。ただ、ユダヤ人街という場所柄か、警官が二人警備にあたっていました。警官は、静かで穏やかな昼下がりには似つかわしくない光景でしたが、直近の情勢(ガザ紛争)を考えると無理もありません。

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聖ルプレヒト ザルツブルクの守護聖人でもある。

 教会内部は、近代的なステンドグラスに覆われたシンプルな内装でしたが、私は素朴で無骨な外観のほうを好みます。
 この教会の名前の由来になった聖ルプレヒトは、塩を運ぶ船の守護聖人でした。彼が左手に抱えているカゴには、貴重な収入源であった塩が入っているそうです。教会の裏手、緑に囲まれた一角に佇む聖ルプレヒト像がとても印象的で、何時間でも眺めていたい気分でした。

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マリア・アム・ゲシュターデ教会 外観

 ルプレヒト教会についでウィーンで二番目に古い教会は、マリア・アム・ゲシュターデ教会です。教会の名前は岸辺のマリアという意味だそうで、建てられた当時はすぐ下にドナウ川の支流が流れていたそうです。

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マリア・アム・ゲシュターデ教会 内陣

 教会の内部は明るく、白壁が清潔な印象を与えていました。川岸の狭い土地に建てられたために内陣は、くの字に曲がっているとのことでしたが、私にはそれを感じることができませんでした。

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ペーター教会 内陣

 最後に紹介するのは、にぎやかなグラーベンにあるペーター教会です。ぼってりとした緑色のドームとクリーム色の壁が周辺の景観に溶け込んでいます。あまりにも周囲の景色と一体化していることと、外壁の修復工事をしていたために、一瞬、中に入るのをためらってしまいましたが、内部は観光客でごったごえす外の喧騒を切り離し、静かで荘厳な雰囲気をたたえていました。

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ペーター教会 ロットマイヤー作:「聖母マリアの被昇天」

 この教会の一番の見所は、丸天井に描かれた「聖母マリアの被昇天」です。地味な外観とは裏腹に、内部はきらびやかで美しい装飾が施されていました。
 しかしながら、ウィーンの教会にもの足りなさを感じてしまったのは、熱心な信徒に支えられているポルトの教会を訪れた後だったからにほかありません。ウィーンで私が訪れたのは、観光地にある教会だけなので、一概にウィーン市民が信仰とは無縁の生活を送っているとは言い切れませんが、今でも、ポルトの教会で出会った熱心に祈る老婦人の姿が忘れられません。教会は、神を思い、あらん限りの美を捧げるために建てられた場所ではありますが、そこに集う人間の姿があってこそ、命が通う本物の美しさが見えてくるのかもしれません。

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ヴィンテージ食器をインテリアに!見せる収納とアレンジコーディネート実例

スペイン乗馬学校

 ホリデーに行く前には、ガイドブックやインターネットで名所を調べ、絶対に行きたい、時間があったら行きたい、行かなくてもよい場所に分けます。「スペイン乗馬学校」は、行かなくてもよい場所に分類されていました。しかしながら、観光初日に乗馬学校の前を通りかかったとき、偶然にも馬がトラックで搬送される場面に出くわしました。

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 観光地には似つかわしくない大きなトラックが敷地内に進入してきました。この大きさ、この形、ここは乗馬学校、もしや、トラックの中にはお馬さんが...。私は、そして通りかかった観光客の多くも暑いなかカメラを構えてお馬さんのお出ましを今か今かと待ち受けていました。

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 一頭、二頭と、次々にお馬さんがトラックから出てきます。私は夢中でシャッターを切りました。間近で見るお馬さん、なんとかわいらしいのでしょうか。
 その時、急に馬がヒヒーンといななきました。どうしたどうしたと辺りを見まわすと、観光客用の馬車が通りかかったところでした。互いを牽制しあってか、いたるところでヒヒーンの嵐が始まりました。
 「よっ、かわいこちゃん。その華奢な脚で今日もステップ踏むのかい。」
 「フン、馬車馬の分際で私たちに気安く話しかけないでちょうだい。いやーねぇ。」 
 と言っていたかどうかはわかりませんが。

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観光客を乗せて走る馬車

 馬の姿にすっかり魅了された私は、次の日、朝の調教見学に行ったことは言うまでもありません。このスペイン乗馬学校は、1572年創設の世界で最も古い乗馬学校です。建物は、マリア・テレジアの父カール6世が建設したバロック様式の見事な内装です。馬を怖がらせないための配慮か、室内は撮影禁止です。

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 午前10時から正午までの間、馬の調教が行われています。チケットを購入して、好きな時間に入退場ができます。私は乗馬には詳しくありませんが、数種類のステップの練習をしていたように思います。見ていると馬にも個性がありました。足元を気にしながら、「私のステップ、本当に大丈夫かしら。」と、不安げに足を動かす慎重な子。自信満々にステップを踏む子。不安げな子は、目線が常に足元にあり、一歩一歩おっかなびっくり踏み出していました。その憂いに満ちた目に釘づけになった私は、その子から目を離すことができませんでした。お馬さんのうるんだような瞳はとても美しいのです。
 私は飽くことなくお馬さんとそのステップに見入っていましたが、相棒は、「えっ、これだけ。もっとジャンプするとかしてくれると思ってたのに。12ユーロって高くない?」と不満気でした。いえいえ、私は大満足でしたけれども。

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Author:Lady Masala
移民の街ロンドンへようこそ。
各国文化を織り交ぜつつ、
Lady Masala が厳選したイギリスらしいものをご紹介します。
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