2017-08

お花を買いに

 ある日、上司が私のデスクまできて「Masala さん、すまないけど明日、来客があるので花を買ってきて活けてくれませんか。」と言った。「はい。わかりまりました。どのようにいたしましょうか。」と詳細について打ち合わせながら、私は心のなかで「なぜ私が。」と小さく毒づいた。「なぜ私なの。この美的センスのかけらもない私が。私、花なんか上手に活けられないのに。アート系でセンスの良い人たちがここにはたくさんいるというのに。」
 なぜわたしなの、と。その答えは最初からわかっている。私は「いいえ」とは言わないから。それは自分の仕事ではない。だとか、自分の権利がどうの、とか、決して言わないから。
 気が進まなくても、得意じゃなくても、下手でも、言われたことをやってみる。そうしていれば、いつか自分の世界が広がるはず。そう信じているから。
 
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 他の仕事も終わらずに、半分泣きながらサービス残業で花を活けていたら、別の上司がやってきて慰めてくれた。そして、花瓶から花を一本、抜き取ってプレゼントしてくれた。今、家には一輪挿しにバラの花がさしてある。

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わり食うトニー

 クリスマスにカレーの師匠であるシーク系インド人のお宅にお邪魔をしました。12月25日は公共交通機関が運休になるので師匠の次男のトニーさんが車で家まで迎えに来てくれました。師匠宅のリビングルームに通されると天井や壁紙が以前と変わっていることに気がつきました。クリスマスに間に合うようにトニーさんが週末や仕事の合間に少しずつDIYで工事を行ったそうです。
 師匠には6人の子どもがいます。長女と長男、五男と六男が双子でその間に二人の男の子がいます。旦那さんが亡くなったとき、長男と長女は高校生でした。旦那さんは商売をしていましたが、稼ぎ手がいなくなったので長女が高校を辞めて家業を継ぎました。長男は理系の大学院まで進学しましたが、次に大学受験を控えていたトニーさんは、学業が長男よりも優秀であったにも関わらず、家の財政を慮ってか進学を断念しました。長男は地元、ロンドンの大学で学びましたがトニーさんの希望していた大学が地方であったことも関係していたのかもしれません。進学を諦めたトニーさんは高校を卒業すると同時に、長女と共に家業を継ぎました。
 長男は大学院を卒業後、安定した職に就きかなりの高給取りになりました。師匠の家を財政的に支えているのはこの長男かもしれませんが、彼は仕事の関係で海外で暮らしていた期間が長く、実際に家を取り仕切っていたのは次男のトニーさんでした。現在、長男はロンドンに戻りましたが大学進学の件もあり、彼はトニーさんには頭が上がらないようです。そのようなこともあり相変わらず家を取り仕切っているのはトニーさんです。数年前に廃業するまでは家業もトニーさんが経営していました。
 トニーさんはとても頭が良く物知りです。スポーツも万能です。会話もウイットに富んでいてリーダーシップもあります。優しくて気配りができる性格ですが、言うべき事はきちんと言います。手先も器用で家電の修理やDIYもお手の物です。家族や友だちは、そんなトニーさんを頼りにしています。トニーさんは性格がよく、周囲の状況を誰よりも早く察知します。そして問題が起れば真先に対処します。しっかりした弟であり兄であるトニーさんは誰よりも働き者です。今回のDIYにしても同居の三男も手伝うべきだったように思いますが、トニーさんが殆ど一人でやったそうです。
 トニーさんはそんなことは気になどしてはいないでしょうが、私に言わせると彼は「損をしている」ような気がしてなりません。器用貧乏という言葉がありますが、トニーさんの状況を表わしている言葉であるといえなくもありません。その証拠に、40を過ぎているのにトニーさんは未だに独身です。あの性格で整った顔立ちをしているトニーさんは女性にもてないはずはないのですが、独身なのは彼の母親である師匠があまりにも彼を頼りにしすぎるせいかもしれません。
 私にはトニーさんは多趣味で人生を謳歌しているように見えるのですが、できすぎる故に割を食っているように見えなくもありません。気がつけば、私の周りにはトニーさんのような人が多いです。職場でもできるが故に大量の仕事を抱えている同僚もいれば、できないと見放され遊んでいる奴もいます。私はトニーさんのような人の重圧に気づいてあげることはできるのですが、頭の回転も速くはないし、器用でもないので助けてあげることができません。

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類は友を呼ぶ

 先日、部署が違う同僚と食事をする機会がありました。同僚と外で話をするときは、どうしても職場の愚痴めいたことになってしまうのですが、彼女の愚痴を聞いていて、強く激しく頷いてしまう自分を発見しました。彼女の言いたいことは私の言いたいことと同じだったからです。

 彼女の言っていることをまとめると、
1 自分は不器用で頭もよくないけれども、真面目なので与えられた仕事には真面目に取組む。
2 要領が悪いので仕事をこなすには人の倍以上、努力をしなくてはならない。
3 不真面目な奴は許せない。奴らは真面目にコツコツやっている人たちを馬鹿にする。
4 不真面目な奴は要領がよく、短期間で仕事を終わらせてしまう。
5 でも所詮は不真面目な奴の仕事なので粗も目立つ。
6 その尻拭いをするのはなぜかいつも自分の仕事。
7 気は強くないけれども、意を決して不真面目な奴に物申す。
8 自分が一言、物申したくらいでは不真面目な奴は動じない。
9 結局、やっぱり自分がそいつの尻拭い。

 最後に自分でつけ足し。不真面目で要領のいい奴が認められるのは最初だけ。不器用だけれどもコツコツ頑張っている人は時間はかかっても必ず認められる時がやってくる。さぁ、明日からも頑張ろう。

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貧乏は不幸か

 私はフルタイムで働いてはいるのですが、ロンドンは物価が高くて家賃を払うと欲しいものもロクに買えません。「こんな貧乏暮らしは嫌だ!」と時々キレるのですが、そんな時、友人は「そんな贅沢は言うな。移民たちの大部分が貧しくて、底辺の仕事に甘んじていることを考えろ。」と言って私を諭します。私はもっとキレて、「何を言うか。私は日本から来たんだ。そんな生活ができるか。」と叫びます。
 差別でも偏見でもないです。私の正直な気持ちです。紛争地帯から来た難民は狭い部屋にすし詰め状態で暮らしていようとも、真冬に路上で駐車違反の取締りをしていようとも、祖国に居るより、安全で幸せだと感じるかもしれません。もし、そう感じているなら彼らは幸せだと思うのです。私はそんな生活は嫌です。ある程度は社会的な要因も働くのかもしれませんが、私の次元の「幸せ」というものは私が感じることです。
 以前働いていた会社の清掃作業員たちはガーナ出身です。彼らは祖国では寄宿学校で学んでいたそうです。自分たちの親もロンドンで同じ仕事をして仕送りをしてくれたように、自分たちも子供のために仕送りをしているとのことでした。彼らは紳士、淑女的に振る舞い、掃除をしているにも関わらずとてもおしゃれでした。英語もとても綺麗で、歌いながら掃除機をかけていました。彼らが本当に幸せと思っているかどうかは聞いた事がないので分かりませんが、私は彼らに好感を持っていました。

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