2017-08

Cécémel

cecemel.jpg チョコレート王国ベルギーで大変おいしゅうお飲み物を発掘いたしました。ブルージュ初日の夕食は、マルクト広場を一望できるレストランでいただきました。立地条件は非常に結構でしたが、肝心のお料理はひどいものでした。お味自体は悪くなかったのですが、注文したムール貝のワイン蒸もフリッターも冷めておりました。暑い日でしたので、シェフが気を使ってお料理を冷ましてくれたなどということでは勿論なく、作り置きの料理を温めなおしもせずにそのまま出してしまったというだけのことでございましょう。そのわりに結構なお値段を払わされました。実際、今回の旅行で訪れたどのレストランよりも高かったのでございます。
 しかしながら、このレストランでの出来事にも一つだけ救いというものがございました。注文したドリンクが誠に美味であったという点でございます。Cécémel という聞いたこともない名称がメニューにあったのでウエイターに確認いたしました。チョコレートドリンクであるということでしたので、迷わず注文いたしました。よく冷えたこの飲み物の喉越しの爽やかだったことといったら、冷めた料理のことを一瞬、忘れさせてくれるほどでございました。
 その日以来、旅行中にレストランやカフェで飲み物を注文するときは必ず Cécémel を注文いたしました。置いていない場所もありましたが、大抵は注文できました。寒い日にはホットでいただきました。個人的にはアイスのほうがおいしいかと存じますが、温めても飲むことができるということを知りました。
 いよいよロンドンへ帰るという日、私は列車に乗り込む前にスーパーマーケットへと走りました。750mlの Cécémel を車内でラッパ飲みしながらブルージュの旅に思いを馳せました。冷めたムール貝のことは水に流し、Cécémel に出会えたことに感謝いたしました。あぁ、Cécémel 美しい旅の思い出。もう一度味わいたい甘く懐かしいチョコレートドリンク。

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ホテル メトロポール

 ブリュッセルは、EU(欧州連合)の諸機関の本拠地であるため、ビジネス関連での滞在者がとても多い場所です。そのため、ホテルの値段は土日のほうが割安です。春にブリュッセルを訪れたとき、朝食のレストランには、スーツをパリッと着込んだビジネスマンの姿が目立ちました。彼らは慌しく朝食を取っては、足早にレストランを後にしていました。

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Hotel Metropole レセプション

 通常、夏の観光シーズンにはホテルの値段は割高になりますが、ここブリュッセルでは逆に安くなります。今回、私たちが1泊した Hotel Metropole(ホテル メトロポール)は高級ホテルですが、8月のホリデーシーズンには、個人経営のこぢんまりとしたホテルに泊まるより少し高いくらいの値段で宿泊することができます。私たちはキャンセル時の返金不可という条件で数ヶ月前に予約しました。

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ロビー

 このホテルに宿泊したのは、グラン プラスに徒歩10分という立地条件もさることながら、アールデコ様式の建物内部を見学してみたいという理由からでした。このホテルは1895年の創業です。
 ロビーやカフェ、会議室は非常に美しいアールデコ様式で感激しましたが、私たちが泊まった部屋はいたって普通、むしろ70年代風の古めかしい部屋で少しがっかりしました。インターネットの写真で見る限りは、客室の内装も素晴らしかったのですが、もう少し高いお金をださないとそのような部屋には泊まれないようです。

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カフェ

 ビュッフェ形式の朝食は充実していておいしかったですが、私たちが通常、泊まる小ぢんまりとしたホテルに比べて、特に素晴らしいということもありませんでした。スタッフの対応は、丁寧ではありましたが、慇懃無礼と感じられなくもありませんでした。
 私には、手作り感が溢れる小ぢんまりししたホテルで、フレンドリーなスタッフと世間話をするような旅のほうが身の丈にあっているようです。

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天井

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ミニヨーロッパ

 ブルージュの旅を終え、ブリュッセルの駅に到着しました。そこには、緊急自動車のサイレンがけたたましく鳴り響いていました。ブルージュではこの音を一度も耳にしなかったことに思いあたりました。平和で美しかったブルージュ。春にはあんなに感激したブリュッセルの街並みが色あせて見えたのは、ブルージュが美しすぎたからなのでしょう。

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アトミウム 

 ぼやいていても仕方がないので、地下鉄に乗ってアトミウムを見に行きました。この巨大なモニュメントは、1958年の万国博覧会のために作られたました。現在は科学館として使用されています。
 相棒の希望でこの場所に来ましたが、私は近代的な建築物にはあまり興味がないので「ふーん。」という感想に終始しました。

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シュノンソー城 at ミニヨーロッパ

 5分で終わってしまったアトミウム見学の後は、近くにあるテーマパーク、ミニヨーロッパを見学しました。EUの本拠地であるブリュッセルに相応しいアトラクションです。加盟国の有名な建物や街並みがミニチュアで再現されています。各国の歴史や地理を紹介した冊子を読みながら見学します。どちらかというと子どもたちが喜びそうな場所ですが、大人でも充分に楽しめます。

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グラン プラス at ミニヨーロッパ

 ここに展示してあるミニチュアの模型ですが、非常に良くできているものとそうでないものとの格差が激しかったです。その差といったら笑えるほどでした。なかには不器用な人がやっとこしらえた安物のプラモデルのようなものもあり、思わず首を傾げてしまいました。この記事に載せている写真は優良模型です。

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ビッグ ベン at ミニヨーロッパ

 私が大絶賛した模型はビッグ ベンです。細かいところまで精巧に作られていて非常に美しく仕上がっていました。そう思えたのは私がイギリス贔屓だからでしょうか。見学者たちを見ていると自国の模型の前に立ち止まって記念撮影をする人が多かったです。皆、「おらが○○が一番。」と囁きあっていたのに違いありません。
 ミニヨーロッパ、どうせ子ども騙しのアトラクションだろうとあまり期待はしていませんでしたが、童心に戻って楽しめる場所でした。

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小さな博物館

 ベギン会の修道院の敷地内には、わずか四部屋しかない小さな博物館があります。修道女たちゆかりの品々が展示されている部屋をたどってゆくと、当時の彼女たちの暮らしぶりが偲ばれます。

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寝室 天蓋つきの小さなベット

 食堂にはルネッサンス式のベギン用戸棚がありました。この博物館の展示品の中で私が最も気に入った品です。棚は三段に分かれています。一番下の段は食卓になります。恐らく彼女たちは、ちょうどこの戸棚に納まるくらいの私物を所有していたのでしょう。祈りの集団生活に身を捧げるとき、小さな戸棚に入れられるだけのものを厳選し、物欲に左右されない質素で堅実な暮らしを選んだのでしょう。

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ベギン用戸棚

 ここにある展示物は、どの品も質素で飾り気がなく、小ぶりなものが多いのが印象的でした。ベットは子ども用かと思われるほどの大きさでした。

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サロン

 小さな中庭には井戸がありました。寝室へと続く渡り廊下から見渡すひっそりとした庭です。レンガの壁に生い茂る緑と井戸の上のかわいらしいお花。それだけの小さな庭です。

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中庭

 中庭を見渡す廊下にある小さなベンチに座って戸棚のことを考えました。私があの戸棚を持っていたら何を入れようか。今の私には捨てなければならないものが多すぎるように思いました。小さな戸棚にちょうど収まるだけのものに囲まれた生活。憧れる反面、今の私とは全く逆の生活です。この際限ない物欲が私を支配する限り、私は修道女にはなれそうにありません。

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ベギン会修道院

 フランドル地方には、いくつかのベギン会の修道院が残されています。ベギン会は、中世にはじまった女性のための修道会です。入会の際に誓約が課されない、個人財産の所有が認められる、脱会によって結婚が許されるなど、他の修道会よりも規則が緩やかであったのが特徴です。

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ベギン会修道院 ブルージュ

 修道女たちは院内で寝起きし、共同生活をしながら祈りの日々を送っていました。しかし、神秘的な瞑想を祈りの中に取り込んでいたために、カトリック教会からは常に異端視されていました。

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レンガの白壁が美しい

 現在、この敷地内にはベネディクト会の修道女たちが暮らしています。私たちが教会で休んでいると年老いた修道女が祭壇のそばにあるオルガンの練習を始めました。時々、音を外したりして、あまり上手とは言えませんでしたが、微笑ましく心温まる時間を彼女と共有できたような気がしました。

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マリア様の祠へとつづく

 この修道院内には、外界とは遮断された静謐でゆっくりとした時間が流れていました。神秘的ですが、ほっとする空気がそこにはありました。一日中でもそこにいたいと強く思いました。
 春になると芝生には一面の水仙が咲きはじめるそうです。その光景をぜひとも見てみたいものです。

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聖血礼拝堂

 私は教会めぐりが大好きです。前回ブリュッセルを旅行したときにもたくさんの教会を訪れました。しかしながら、どの教会も寒々しく、埃っぽくて重苦しい空気が聖堂内を覆っていました。私はベルギーの教会とは、暗く鬱々とした雰囲気の場所であると理解しましたが、外の灰色でどんよりとした曇り空が教会内部の空気を重たくさせていたのかもしれません。

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 ベルギーの教会は暗くて嫌だなと思っていた私は、今回のブルージュ旅行の際、教会めぐりに関しては大きな期待をしていませんでした。ブルージュで最初に入った教会は聖血礼拝堂でした。

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 聖血礼拝堂には、12世紀にフランドル伯爵ティエリー・ダルダスが、第2回十字軍遠征の際にエルサレムから持ち帰ったとされるキリストが流した聖血が奉られています。

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 ここを訪れた日も生憎の雨模様でしたが、ステンドグラスから差し込む外の光が教会内をやさしく包み込んでいました。柱や壁の色が鮮やかでした。暖色を基調としているせいか、石の冷たさは感じられず、暖かい感じがしました。

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 教会の多くは、重厚な石の壁やシンプルで清潔感のある白壁に四方を囲まれていますが、この教会の鮮やかな壁の色はとても印象的でした。植物的な模様がまるで民族衣装を仕立てるファブリックのようでした。赤を基調としたカラフルな支柱もとてもかわいらしく、この聖血礼拝堂は私のお気に入りの教会になりました。

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風車を眺めながら

 ダム行きのボート乗り場の近くには風車があります。マルクト広場から出ている4番の路線バスに乗ると船着場に到着しますが、バスではわずか5分ほどの道のりだったので、帰りは風車を見ながら歩いて中心街まで戻りました。

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 運河沿いの遊歩道に沿って4台の風車があります。現在は使われていませんが、中を見学できるものもあるようです。風車もさることながらこの散歩道は見所の多い場所でした。

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 船着場周辺は、近代的なビルやフラットが多かったですが、中心街に近づくにつれてかわいらしい街並みが戻ってきました。美しい建物を眺めながら歩いているとテイクアウェーのケバブ屋さんを発見しました。歴史地区にはなかったので、こんなところにあったのかと喜んでいると、ポーランドのスーパーマーケット、タイレストラン、アラブ系のお店、ごちゃごちゃした雑貨屋さんなど庶民的なお店が多いことに気がつきました。

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ギド・ゲゼル博物館

 その通りにはイーストロンドン的な雰囲気が漂っていて、若者向けのバーやクラブ、ヴィンテージショップもありました。時間が遅かったために店内に入ることはできませんでしたが、どのお店も雑多としていて楽しそうでした。ブルージュのこぢんまりとした下町通りは、切妻屋根のかわいらしい建物と相まって上品にまとまっていました。

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城門

 中世風の歴史的建造物と現代的なニーズが溶け合った一本道。ブルージュの違った側面を垣間見た気がしました。

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